「避難所」の「入りやすさ」を計算してみた

以前「「避難場所」の住民収容率を計算してみた」という記事を書きました。消防庁の資料で「避難場所」の数と収容人数がわかったので、都道府県別に住民収容率を計算してみたんです。しかしもっと気になる「避難所」の資料はなく……。

そうしたら先日、内閣府の「避難所」に関するある調査結果が発表され、そこに「避難所」の数が掲載されていました。やったー(/・ω・)/

ということで、ちょっと「避難所」の「入りやすさ」について計算してみました!

「避難所」と「避難場所」の違い

まずは「避難所」と「避難場所」の違いについておさらいしておきましょう。

「避難所」

「避難所」はざっくりいうと

・屋内
・しばらく滞在できる場所
・泊まれる場所

です。災害で家が壊れた人などが身を寄せて、しばらく滞在するための場所になっています。小学校や体育館、公民館など、屋根があって寝泊りができます。

「避難場所」

「避難場所」は

・屋外・屋内
・とりあえず逃げる場所
・泊まれない場所

です。地震後、大きな火事が発生した!津波が襲ってくる!など、災害の危険からとりあえず逃げるための場所が「避難場所」です。

屋根がない公園や運動場、大学のグラウンドなど、屋外施設も多く指定されています。その他、頑丈な建物だけど宿泊設備はないなど、基本は「泊まれない場所」だと覚えておきましょう。

ただ、一部「避難所」と「避難場所」が同じ場合があるんですよね。うちは近くの学校が「避難所」ですが、「避難場所」にもなってます。ややこしい。

「避難所」と「避難場所」の区別を明確化

東日本大震災前は「避難所」と「避難場所」の区別がふわふわしていました。特に都市部だとうちのように「避難所」と「避難場所」が同じところも多い。自治体の広報や避難誘導板の案内もあいまいでした。

しかし東日本大震災では、津波から逃れるため「避難所」に避難した多くの人たちが津波に飲まれてしまいました。

家の近くの「避難所」に行けば安心だ!と思いますよね。わたしもその場にいたらそう思ったと思います。まさか「避難所」が危ないなんて思ってもみませんでした。さぞや無念だったでしょう。

これを受けて、東日本大震災後に「災害対策基本法」が改正され、市町村長は「避難場所」と「避難所」をはっきり区別して指定し、住民に知らせること、と定められました。まずは災害の危険から逃れるため、「避難場所」に避難する、ということの徹底です。

今回の内閣府の調査もその一環。災害後に滞在する施設である「避難所」が安全に過ごせるのかどうか浸水、土砂災害、津波などの危険エリアにあるのかどうかを調査したものです。それについては以下で詳しく。

「避難場所については「とりあえず逃げる場所」だとしっかり覚えておきましょう。火事のときは「〇〇避難場所」だけど、津波のときは「△△避難場所」というように、災害の種類によって「避難場所」が異なる場合もあります。そりゃそうですよね。火事なら広々とした海岸がいいかもしれないけど、津波のときは危ないですもんね。ぜひ自治体のハザードマップなどでご確認を。

「避難所」と「避難場所」のちゃんとした定義についてはこちらがわかりやすいです。

安全な場所に立つ「避難所」かどうかを調査

内閣府が行ったのは「立地状況や防災機能設備等の確保状況に関する調査」です。それを取りまとめて各都道府県に通知したのが「指定避難所における立地状況を踏まえた適切な開設及び防災機能設備等の強化の推進について(通知)」。

簡単にいうと

「避難所が立ってる場所が安全かどうか」
「停電・断水になってもリカバリできる設備があるかどうか」

という2点についての調査です。設備については日々変化するので施設管理者にお任せするとして。ここでは避難所の立地状況について詳しくみてみましょう。

避難所の立地状況についての調査

避難所の立地状況についての調査は「避難所」が立ってる場所が

・浸水しないか
・土砂災害にあわないか
・津波がこないか

などを調べたものです。で、調べてみたら、

・風水害で浸水が想定される場所に立っている → 30%
・風水害で土砂災害が警戒される場所に立っている → 15%
・地震で土砂災害が警戒される場所に立っている → 15%
・地震で津波災害が警戒される場所に立っている → 5%

となったそうです。
うーん。まあたしかに、そうなるかもしれない。

自治体も難しいと思うんですよ。

そもそも「避難所」は小・中学校が多いですよね。結構広くスペースが必要だから、川の近くとか海の近くとかに立っていることもよくあります。まあ、そしたら風水害のときに浸水するだろうなと。

昔にくらべて台風や豪雨被害が甚大化しているので、昔に建てた小・中学校が浸水や土砂災害に対応できないというのも理解できる気がします。

通知文の最後に「避難所の機能強化してくれたら財政支援しまっせ」と書いてあるのですが、学校を建て替えるとか改修するとか、いきなりは難しいですよね~。何年かかるか……。

調査では、災害警戒区域内に避難所があるなら「使わない」「安全確認して開設する」などの運用方針も聞き取りしていました。

なので、もしお住いの都道府県がワーストに入っていたら、ぜひ自分が行く「避難所」はどうなっているのか確認してみてください。

内閣府の通知が載っているページはこちら

避難所の生活環境対策 : 防災情報のページ - 内閣府
避難所の生活環境対策

「避難所」の「入りやすさ」を仮計算してみた

また今回の通知に各都道府県の「避難所」数が掲載されていたので、「1000人あたり避難所数」「1避難所あたりの平均収容人数」を計算してみました。簡易的に「入りやすさ」を出してみたという感じです。

コロナ禍なので1人あたりに必要な面積が見直されていて、一概に言えないのですが、まあだいたい1避難所に平均1000人ぐらい入れるとして「1000人あたり避難所数」を計算しています。「1000人あたり避難所数」が1に近ければ、その都道府県の住民はおそらくどこかの避難所には入れるんじゃないかという目安です。

計算式は

避難所数÷都道府県人口×1000
= 1000人あたり避難所数

それとは逆に、都道府県の常住人口を避難所数で割って平均収容人数も出してみました。これが「1避難所あたりの平均収容人数」。すべての住民が避難所に入るには、1避難所に平均何人入ればいいのかという計算です。

計算式は

都道府県人口÷避難所数
= 1避難所あたりの平均収容人数

とはいえ、都市部で千人を超えるマンモス学校もあれば、地方で数人だけが在籍する小さな学校もあるでしょう。避難所に指定されている施設の収容可能人数にだいぶ差があるはずです。

今回の調査に「避難所」の収容可能人数が載ってればもっとよかったんですけどね。それがなかったので避難所への「入りやすさ」をわかりやすくするため、ざっくり上記のような計算をしています。あくまで目安としてご覧ください。

ちなみにわたしは「入りやすさ」ワースト3の自治体にお住まいです。やっべー( ̄ロ ̄lll)

ではそれぞれ表を見ていきましょう。

指定避難所の「入りやすさ」と浸水・土砂災害・津波割合

人口については総務省統計局「日本の統計」から令和元年推計人口を利用しています。

統計局ホームページ/日本の統計 2021−第2章 人口・世帯
総務省統計局、統計研究研修所の共同運営によるサイトです。国勢の基本に関する統計の企画・作成・提供、国及び地方公共団体の統計職員に専門的な研修を行っています。

47都道府県一覧

まずは47都道府県の一覧です。細かい。以下でもうちょっと見やすく加工してます。

47都道府県一覧・「避難所」の「入りやすさ」ワースト順

指定避難所の1000人あたり避難所数・平均収容人数の数字が悪い順、つまり「入りやすさ」のワースト順に並べ替えました。ワースト順位が高いほど、避難所に住民が入りにくいということになります。

1000人あたり避難所数・平均収容人数 ワースト10

見やすくするために「入りやすさ」ワースト10を抜き出しました。
まあ、東京と大阪は仕方ない。東京と大阪に住んでいる人はよほどのことがないと避難所に入れないと覚悟しましょう。うちは鉄筋コンクリートのマンションなので、ものすごく覚悟してます。

しかし神奈川県。

「避難場所」のときも言ってたけど、大丈夫なの?神奈川県。1避難所あたり約7000人も詰め込まないと住民全員が避難所に入れない。いや、もしかしたら1避難所で1万人収容できるのかもしれないけど……。指定外の避難所や福祉避難所がめちゃくちゃ充実してるのかもしれないけど……。もしかしたらホテル泊を想定してるとか……

いや~たぶんそんなことはないな~

ついでに人口が多い順に並べかえて、人口上位10都道府県を抜き出した表もここに貼っときますね。

人口が多い=避難所に入れない

という図式が顕著ですね。福岡もワースト11位なのでそれほど良くもない。北海道は広々してて羨ましい……。

人口が多い都道府県は、通勤・通学や観光客など常住人口以外の人も多いので、昼間人口が上がります。昼に災害があった場合、帰宅困難者も増えるので、おそらく付近の住民は大変だと思いますよ。ワースト3住まいのわたしと一緒に備えをがんばりましょう(´;ω;`)

ちなみに各避難所に備蓄されている食料は基本的に、避難所に入れる人数分×数日分しかありません。もしくはそれより少ないか。在宅避難する人たちに配れるほどの数はないので覚悟しましょう。

浸水想定区域内割合(風水害の場合)

風水害で浸水が想定される場所に立ってる指定避難所の割合で、ワースト10を抜き出してみました。米どころが多いような気がする。豊かな水量の川と浸水害は表裏一体なんでしょうね。

土砂災害警戒区域内割合(風水害・地震の場合)

土砂災害が警戒される場所に立ってる指定避難所の割合で、ワースト10を抜き出しました。土砂災害に関しては風水害の場合も地震の場合も同じ数だったので一つにまとめてます。

比較的、避難所に余裕がある自治体が多い気がします。台風や豪雨、地震などで土砂災害が想定されるなら、少し離れた避難所に避難できるといいかもしれない。そして10位に神奈川。心配。

津波災害警戒区域内割合(風水害・地震の場合)

地震で津波災害が警戒される場所に立ってる指定避難所の割合で、ワースト10を抜き出しました。

南海トラフ地震で大きな被害が予想される自治体が結構入ってますね。海の街だと学校などの指定避難所も海に近いということがあるでしょう。

海に近いところに住んでる人は「避難所」ではなく、まずは「避難場所」を目指して避難しましょう。津波が引いてから、安全を確認して「避難所」へ移動という感じでしょうか。

でも大きな地震の後は何度も余震があるから、一概に「安全を確認」というのも難しいでしょうけどね~。もし可能なら、津波被害のない親せき宅に身を寄せる方が現実的かもしれません。

自治体まかせにせず、自分でも備えを

以上「避難所」の「入りやすさ」を仮計算してみました。

皆さんの住んでる都道府県は何位でしたか?

「避難所」といっても「指定避難所」や指定外の「避難所」、「福祉避難所」、場合によってはホテル借り上げなどもあります。もしかしたら、指定外の避難所がたくさんあって、すべての住民が避難所に入れるのかもしれない。

また、必ず都道府県内すべての場所が同時に被災する、というわけではないから、人口に対して2~3割ぐらいしか入れない避難所数でもどうにかなるのかもしれません。あくまで希望的観測ですが。

「避難所」の収容可能人数があればもうちょっと具体的に計算できるので、また公表されたら計算してみますね。

今回の内閣府の調査を受けて「避難所」の立地や設備が急に良くなったり、避難所数が増えたりはしないでしょう。しかし災害は待ってくれません。

わたしたちにいまできるのは、自治体まかせにせず、自分でも備えることです。

都市部に住む人は、とりあえず3日分できれば7日分アレルギーがある人は、日ごろ食べてる物が手に入りにくくなるので、できれば1か月分水や食料などの備えをしましょう。わたしはグルテン不耐症とアレルギーがあるので1か月分で備えてます。

災害に関しては考えてもキリがなく、どうなるかさっぱりわかりませんが、備えがあるとちょっと気が楽になる気がします。コロナ禍で予想外に役に立つこともありますしね!

皆さんもどうぞ備えつつ、日々お元気にお過ごしくださいヾ(*´∀`*)ノ

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