3月18日~22日 震災時のお風呂事情(東日本大震災8~12日目)

前日の記事にも書きましたが、震災6日目ぐらいから物資不足が深刻化。パックや化粧水などの雑貨はやや手に入るけど、食べ物は手に入りにくく、トイレットペーパーは見かけることもありませんでした。しばらく買い物ははかどらないので、ここで震災時のお風呂についてまとめてみます!

ライフライン停止時のお風呂

体を拭けるシート、ドライシャンプーが必須!

水・電気・ガス、すべてのライフラインが止まってしまった場合もちろんお風呂は入れません。

カセットコンロがあれば、お湯を沸かせばいいんじゃない?と思われるかもしれませんが、水が確保できないんですよね。

震災当日は給水所が開くとも限りませんし、翌日、給水所が開いたとしてもどれぐらいお水がもらえるかは状況次第です。うちの近所の学校では、防火用水を開いて給水してくれたので、初日に制限はありませんでしたが、他の地域では「1人2リットルまで」と制限があったところも多いようです。

災害時、大人一人が必要とする水の量は3リットルと言われます。これは飲み水と調理用の水、いわゆる飲料水と言われるものだけで3リットルです。手を洗う、歯磨きをする、トイレを流す、体を洗う、洗濯をする、食器を洗うなど、生活用水は別。3リットルの中には、食べ物に含まれている水分も含むので、1人2リットルあればまあ飲料水には足りますが、生活用水には全然足りない!

なので、お水がない前提で災害時のお風呂に備える必要があります。

震災当日、2日目は介護用の大判体拭きシートが便利

震災当日、2日目ぐらいの対処方法としては、体が拭けるシート、ドライシャンプーがあると便利です。

うちはアルコールフリーのウェットティッシュを備えていたので、顔や体も拭けましたが、いかんせん、体に対して面積が小さい……。寒くて汗をかかなかったので、顔や手だけ拭いていましたが、大判の体を拭けるシートがあればよかったな~と思いました。

体が拭けるシートもいろいろありますが、わたしが新たに備えたのは介護用の体拭きシートという物です。夏場に使うボディシートはちょっとスッキリするためのもので、お風呂代わりにするには物足りない。しかも香料やメントールなど配合されている物も多くて、冬場には向かない。

その点、介護用の体拭きシートはたっぷりお水が含まれているし、大判なのでかなり快適になります。素晴らしい。

赤ちゃん用のおしり拭きも乳幼児がいるご家庭なら兼用できていいと思いますが、災害用に新たに買うつもりなら、大人の介護用の体拭きシートの方が大きくて乾きにくいのでいいかなと思います。その分、ちょっと高いですけどね。

ドラッグストアだと介護用品のコーナーに置いてあることが多いです。通販だと「体拭きシート」「からだふき」「清拭シート(タオル)」なんかの名前で売られています。

女性は陰部の汚れで体調を崩すこともあるので、陰部用に小さなサイズのおしりふきや清浄綿を用意しておくと使い分けできていいですよ。わたしは清浄綿と下着を汚さないようにパンティライナーをトイレに備蓄しています。簡易ビデもいいのですが、結局お水がないと使えないんですよね……。

清浄綿はドラッグストアの衛生用品コーナー(絆創膏や綿棒があるところ)や介護用品コーナーでよく見かけます。

洗髪は水のいらないシャンプーやベビーパウダーで

洗髪は水のいらないドライシャンプーが定番です。

でも、実はわたし、水のいらないシャンプー苦手なんですよね……。

わたしが使ったのは資生堂の「ドライシャンプー」です。頭にスプレーしてタオルで拭きとるのですが、香料とメントールがきついエタノールも入ってるのでアレルギーがあるわたしにはツライ。スッキリするのが目的なので仕方ないと言えば仕方ないのですが、匂いやエタノールが苦手な人は一度試しておいた方がいいですよ。

阪神・淡路大震災のときに一度使い、「もう20年も経つし商品の仕様が変わってるかも!」と最近もう一度試してみたのですが、やはりちょっと苦手に変わりありませんでした。ある意味、仕様を変える必要のない、定番のいい商品なんだと思います。

入院経験のある夫によると、入院中でお風呂に入れなかったとき、スプレーした後に濡れタオルで拭くとかなりスッキリした、とのことでした。なので、資生堂の「ドライシャンプー」は夫用に備蓄しています。

わたしはベビーパウダーを使う予定です。

ベビーパウダーを少量手に取って髪の根元になじませ、頭皮をマッサージ。最後にくしで整えればドライシャンプー終了です。髪を洗わないとどうしてもオイリーになりますが、これでかなりさっぱりします。ベビーパウダーも香りが強い物があるので、気になる人は無香料を選びましょう。わたしは普段から無香料の「ピジョン 薬用ベビーパウダー」を使ってます。さっぱり。

・震災当日、2日目は水が使えないつもりで準備
・体拭きには介護用の体拭きシートが大判で便利
・女性は陰部を拭くために、おしりふきや清浄綿があってもいい
・洗髪は水のいらないシャンプーベビーパウダー
・香料やアレルギーが気になる人は事前に試しておく

電気×。ガス×。でもお水はあるなら

太陽光を使って、黒いビニールでお湯を温めよう!

ライフラインが止まって数日以降、電気もガスも復旧しないけど、お水は少し手に入りやすくなってきたなら、もうちょっと工夫して体や頭を洗うことができるようになります。

カセットコンロでお湯を沸かしてもいいのですが、天気がいい日のオススメは黒いビニール袋大きめの黒いビニール袋にお水を入れたペットボトルや給水袋を入れて、日が当たるところに放置しておくだけでわりといい感じにお湯になってくれます。夏ならむしろ熱いぐらい。太陽すごい!

ペットボトルを黒く塗る方法もあるのですが、面倒くさいし手につくしハゲてくるので、黒いビニール袋の方がお手軽でいいと思います。ただし晴れてないとダメ。東日本大震災のときの仙台では寒すぎてムリだったと思います。水が凍る。

黒いビニール袋はいろいろ使い道があるし、それほど場所も取らないので備蓄しておいて損はないですよ!大きさは45リットルが使い勝手がよくてオススメです。

牛乳石鹸や赤ちゃん用の沐浴剤でさっぱり!

水が手に入りやすくなっているとはいえ、普段のようにざぶざぶ使えるわけではないので、体を拭くのも頭を洗うのもお水を節約しないといけません。

こんなとき、ボディソープやシャンプーを使うと、めちゃくちゃ水を使います。こんなにベタベタしたっけ!?っていうぐらい洗い残ります。流しても流しても泡切れが悪い!でもお湯だけだとちょっと物足りない!

幸い、洗顔用に牛乳石鹸を使っていたので、それで体も頭も洗いました。牛乳石鹸、泡切れがとってもいい。べたつかず快適なので、いまでは洗顔だけでなく、体も牛乳石鹸で洗っています。

しかし後日、「赤ちゃん用の沐浴剤なら洗い流さなくてもいい」と教えてもらい、衝撃を受けました。そんなものがあったとは!

赤ちゃん用の沐浴剤はお湯に溶かして体と髪を洗え、上がり湯やすすぎは必要ないんだそうです。へ~!知らなかったな~!

震災時、赤ちゃん用の商品は赤ちゃんがいる人優先なので買いませんでしたが、いまは防災備蓄として買いおいています。あまりよくわからなかったので、わたしは勧められるがままに「スキナベーブ」という沐浴剤を買いました。ご参考まで。

黒いビニール袋があれば、太陽光を使ってお湯を温められる
・水が少ないときは泡切れのよい石鹸が便利(牛乳石鹸押し!)
赤ちゃん用の沐浴剤なら洗い流さなくてもいい
・震災時、赤ちゃん用の商品は赤ちゃんがいる人優先で

電気・水道が復旧!ガスは×

ポットやIH一口コンロなどが複数あると便利

東日本大震災のときには、3日目に電気と水道が復旧しました。当時はガスのお風呂だったので、お風呂は沸かせませんでしたが、電気が復旧すればどうにかなりました。

まずはポットにお湯を目いっぱい、アッツ熱で沸かします。この熱っいお湯を、水道から出る水で薄めて、適温にしながら体や頭を洗っていました。

問題は、体や頭にお湯をかけるときです。

お水は出たのですがお湯が出ないのでシャワーが使えず。ポットのお湯だけでやりくりしないといけないのに、洗面器でお湯をかけているとザバーっとなってムダが多い。しかもうちの洗面器、安物だからぐにぐにする!!(3月11日の日記参照

このとき、切実に手桶が欲しかったので、後日購入しました。髪を洗うとき、手桶だと下を向いていても頭にかけやすくて便利でした。いまも使っています。

100均に、ペットボトルにつけて使うじょうろの先っぽみたいな商品も売っています。ただのんびりしているとお湯が冷めるし、熱々だと水用ペットボトルには入れられないので、夏にしか使えないかも。一応買ってあります。

また洗面器だけでなく、バケツがあれば、適温のお湯が作り置いておけたのにな~と思ったので、いまはなんだかんだでバケツが6つもあります(これも3月11日の日記参照)。

その後、東京の取引業者さんがいろいろ支援物資を持って来てくれた中にIH一口コンロもあったので、このIHコンロも使ってお湯が沸かせるようになりました。ありがとう!めちゃくちゃ助かりました!

お風呂やコンロが都市ガスだというお家の方は、IHコンロがあると調理にもお風呂にも使えて便利ですよ!カセットコンロがあったとしても持っておきたい。カセットコンロはカセットボンベの残量が気になってあまり使えないんですよ。そして実際、カセットボンベはしばらく手に入りませんでした。

電気だけでお風呂が沸かせる「風呂バンス」

いまの家はオール電化になり、お風呂も電気で沸かすので必要なくなったのですが、ガスでお風呂を沸かす実家用にこちらを備えています。電気だけでお風呂が沸かせる「風呂バンス」。

完全に名前がふざけていますが、これがなかなか便利!

本体を風呂おけに沈めてスイッチを入れれば数時間後にお湯が沸くという仕組みです。夏場で3~4時間。冬場で8~9時間。仙台で冬場に使ってみましたが、たしかに朝スイッチを入れて、夕方には沸いていました。蓋がないと放熱してしまうので風呂蓋は必須です。

実家は追い炊きができないので保温に使うこともあると言っていました。追い炊きできないマンション多いですよね……。

ちょっと高いのですが、上手く使って光熱費がお得になるご家庭なら持っていてもいいかも。たぶん少人数家族向けで、追い炊きできないお家向きだと思います。ということで、こんな商品もありますよ!というご参考まで。

ポットIH一口コンロなどが複数あると便利
手桶バケツがあると水がムダにならない
・ペットボトルにつけて使うじょうろの先っぽみたいな商品もある
カセットボンベはしばらく手に入らない物と覚悟する
・電気だけでお風呂が沸かせる「風呂バンス」はコスパ次第

街のスーパー銭湯でお風呂に入る

ガス復旧までの間、家だけでなく、街のスーパー銭湯も利用しました。銭湯は薪のボイラーでお湯を沸かしているところも多く、ガスが止まっていても早めに営業が再開されるようです。ありがたい。

うちは歩いて15分ぐらいのところに大きなスーパー銭湯があり、日頃からよく行っていました。慣れていたので、震災時にもシステムで困ることがなくよかったです。先に入場券を買うとか買わないとか、中に貴重品ロッカーがあるとかないとか、場所によって違うのでちょっと面倒。

困ったのは、普段より人が多いので洗い場待ちをしなければいけないことです。

体を洗うカランの数に対して人が多いので、服を脱いだすっぽんぽんのまま、ずら~~~っと並んで待たないといけないんですよ……。うーん、ちょっと恥ずかしい。

ま、でも、うちは問題なく入れたのでいいのですが。夫に聞くと、男湯でこんなことがあったそうです。

夫の少し前に、腕にタトゥーをした若い男性がいたんだそうです。タトゥーと言っても小さな物で、大きめの絆創膏で隠せる程度のものだったとか。オシャレタトゥーってやつですね。男性もガラが悪いとかそういうこともなく、真面目にすっぽんぽんで並んでいたとのこと。しかし、お店の人がやってきて

「すみません。刺青がある方のご入場はお断りしているんです……」

と言われたんだそうです。

マジか……。
震災という非常時でも、ちょびっとタトゥーがあったらスーパー銭湯に入れないのか……。

男性はごねるわけでもなく「ああ……そうですか……」と悲しそうに列を離れ、しょんぼり帰って行ったそうです。

まあ、ルールっちゃルールですが、あまりにも可哀想で同情した事件でした。お風呂入りたかっただろうに。

こんな記事もありました。

銭湯は基本、タトゥーOKって知ってた?
でもスーパー銭湯や日帰り温泉はNG。温度差の理由は…

とはいえ現実的には、お風呂屋さんが決めたならばそれがルール。従わねばならないので、タトゥーがある人はこっそり絆創膏で隠すか、タトゥーがあっても入れるお風呂屋さんを探しておくといいと思いますよ。東京や大阪にはいろいろあるみたい。

海外だとタトゥーをしている人も多いし、宗教的意味があることもあるし、インバウンド需要を考えたら、そろそろタトゥーがあってもスーパー銭湯や温泉に入れるようにしたらいいのにな~とは思います。

そういえば震災時だと、女性は生理中でも銭湯に行かねばならない場合が出てくるので、普段はナプキンを使っているという人もタンポンやディーバカップなど、お風呂に入れる物を用意しておいた方がいいですよ。目の前にお風呂があるのに入れないなんて本当にツラい!

・日頃から銭湯に慣れておく
タトゥーがあると入れないことがある
・タトゥーがあるなら隠すか、入れる銭湯を探しておく
・女性はタンポンやディーバカップなどお風呂に入れる物を用意をする

温泉でリフレッシュ

仙台市には秋保温泉という温泉街があります。

川沿いの渓谷にホテルや旅館が立ち並び、自然を眺めながら温泉に入れる、とても優雅で風光明媚な温泉地です。震災前に数軒泊まりに行ったことがありました。でも、少し奥まったところに位置する旅館は、離れがあるなど高級感があり過ぎて敷居が高く、行ったことがありませんでした。

しかし、震災時にはほとんどのホテル・旅館でお風呂を解放。日帰り入浴ができるようになりました。中には、敷居の高いあの高級旅館も。

これは……!行かねば……!!

ということで、敷居の高い高級旅館の、お風呂に入った後にお部屋で食事ができるプランをネットで予約。お昼に3000円となかなかのお値段ですが、普段はもっとずっと高いのでむしろ安い!

いや~思いがけずいいこともあるもんだね~とかなんとか言いながら、温泉もゴージャスなお食事も堪能。とてもリフレッシュしました。秋保温泉最高!

ダメだったのは、いかんせん秋保温泉までが遠い……。

たまたまガソリンが確保できていたからよかったものの、ガソリンがなければ秋保温泉まで行くこともできませんでしたやっぱり機動力を保つにはガソリンが大事なので、ガソリンは半分になったら給油するクセをつけないとなと思います。

いやぁ、しかし、家でお風呂入るのにも苦労するかと思えば、高級旅館のお風呂に入ることができたり人生いろんなことがあるもんですよね(しみじみ)。

・温泉でたまにはリフレッシュ
温泉に行くにもガソリンが必要
ガソリンは半分になったら給油するクセをつける
・人生いろいろ

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